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落語入門 其の14【不定期連載】
2010年03月10日 (水) | 編集 |
上方落語編。
四天王の次にはこの師匠を紹介しないわけにはいきません。

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二代目桂枝雀 (1939 - 1999)
四天王について書いていましたが、当時の人気で群を抜いていたのは、他ならぬ枝雀さんでした。
現代の爆笑王といっても過言ではないでしょう。

神戸大学を中退して、米朝師に師事。賢いヒトなんです。
オーソドックかつテクニカルな落語をベースに、どんどん発展させて独自の境地「枝雀落語」に辿り着きました。
東に談志家元あれば、西には枝雀さんありです。
プログレ両巨頭といえるかも。
~家元の本の中で、没後、米朝師に「枝雀はあなたと話をしたがっていましたよ・・・」と明かされたそうです。

ここで「枝雀落語」と云われるものに関して説明します。
一つだけ理解しておいて欲しいのは、枝雀さんは天才でしたが、努力もした人であるという事です。
古典の徹底的な解釈の中から、独特の分析とセンスでスタイルを作り上げています。
~このあたりも談志家元と似ていますね。
高座でのオーバーアクション、破壊的なくすぐりでの単なる爆笑系と簡単に片づける事は出来ません。
で、肝心の落語ですが、有名な言葉「緊張と緩和」に基づく独自の落語分析に基づいて理論的に構築されたものです。
と書くと、難しそうですが、高座での枝雀さんは終始笑顔を絶やさず、アクション、顔芸をはじめダイナミックに抑揚をつけた演じ方で、見ているものを爆笑に誘います。
見ている方も、「面白そう」という笑いの準備が出来た上に、「面白く」演じられるのでたまらず爆笑という事になります。
~古典の演者とかで、聴いてるうちに面白くなってクスっとなるのとは、スタートラインが違います。
これを計算して行っているわけですから天才と云われたのは当然だと思います。

しかし、ここまで笑いを追求していく姿勢の後には、精神の均衡が保てなくなってしまいます。
天才ゆえの悲劇でしょう。
特に後半の鬱はかなり重症だったようです。
死後の米朝師のコメントが全てを物語っています。「死ぬよりほかなかったのかと今は思う。」
上方落語を託せる弟子を失った悲しみは計り知れなかったでしょう。

個人的には、いつ聴いてもスゴイとは思いますがあまりにも異質なので大好きではありませんが、聴くとやはり笑ってしまいます。
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この師匠で、コレだけは聴いとこう。

・代書 枝雀さんの代表的なネタ とにかく可笑しいです。後半からサゲは枝雀さんによるオリジナルです。
・宿替え まさに流れるようなスピード感で演じられます 落語界のメロスピ。
・船弁慶 細かいくすぐりも多く、判りやすいです。
・くやみ よく作り込まれてます。人物の演じ分けも丁寧。
・ちしゃ医者 後半の籠の場面が大好きです。

枝雀さんもEMIからたくさんのCD、DVDが発売されていますので、是非聴いてみて下さい。
ただ、前回も最初から枝雀さんは・・・と書いたのは、枝雀落語は、古典の徹底的な分析のもとに解体再構築されていますので、他の演者でその演目を聴いていないと、ただ「面白かった」でおしまいになるからです。
落語聴くのに難しい事は必要ありませんが、ソレでは勿体ないので。
最初にオリジナルを聴いてた方が、よく出来たカバーを聴いても面白さが倍増するようなイメージです。

と、いいつつ気分転換とかに、単純に面白い噺を聞きたい時にはアリです。

あと所作というかアクションや顔芸はCDではどうにうもなりません。CDで何でも無い時に客席が沸いてるのは、そういう場面です。
DVDで見るのも楽しいと思います。

思えば、枝雀さんも没後11年です。新世紀を迎える事無く亡くなられました。
ある意味イノベーターであった枝雀さんの「枝雀落語」を、現在形を聴く事が出来ないのは残念です。

上方落語まだまだ続きます。

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テーマ:日々のつれづれ
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落語入門 其の13【不定期連載】
2010年03月06日 (土) | 編集 |
予告通り、上方四天王の最後は、超大物の登場です。
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桂米朝 (1925- )
当代の米朝師は3代目にあたるのですが、当代が米朝の名前を大きくしたので、特別な事が無い限り、米朝といえば当代の米朝師を指します。
~このあたりは先代も人気があった松鶴さんや、春団治さんとは異なりますね。

良く言われるのが、「上方落語復興の祖」。
以前にも、お話したように戦後ダメになってしまい、消えかけていた上方落語を、現在のような隆盛にする礎を作ったのが米朝師です。
~もちろん、四天王といわれた他のメンバーの力も大きいですが。
もともと、学究肌なとこがあり、やり手の無くなった噺を、聴きとりから丹念に復刻させたりと努力して落語を残すことに尽力されました。
1996年には落語界から2人目の人間国宝、2009年には落語会から初の文化勲章受章者となられています。
これだけでも、いかに米朝師がスゴイのかがお判りいただけると思いますが、ホントに米朝師が素晴らしいのは噺の芸です。

米朝師は、噺の数も多くいわばオールラウンダーです。
上方落語ならではの滑稽噺、じっくり聞かせる人情噺から、バレ噺(エロ落語)まで何でもこなし、聴かせます。
舞台での米朝師は、温厚そのものといった雰囲気です。噺の口調は、流暢で端正そのもの。
ビシッとしていならが淀みなく気持ちよく聴けます。
この芸風は、若いころから変わりませんね、これが米朝師の芸なんでしょうね。
演者としての米朝師よりも、そこに情景を浮かび上がらせる、人物が生き生き見えてくる感じです。
上手くない演者だと、演じている演者自体の存在がずっと気になりますし、個性的な演者(談志家元とか)だと、演者をずっと意識してしまうのですが、米朝落語は、自然に噺そのものに引き込まれ、米朝師の存在が消えてしますような気がします。
これは相当な技巧派といえると思います。

関西の大きな興行会社(吉本や松竹)に所属しなかった事が、良かったのかもしれません、1972年と早くからホール落語に取り組んでいます。
定期的に時間を気にせず自由なプログラムを演じる機会が多数あるのは、大きなプラスになったと思います。
反面、一門で落語をかける場所では相当苦労されたようですが。

以前にも書いたように、現在の米朝師は、お身体の加減で、セミリタイアのような状態。
もう、以前のように大ネタを熱演される高座を見る事は出来ないのが残念です。
自分でも、キッチリ演じられる米朝師は見る事が出来ませんでした。
1度だけ、聴いた時には、よもやま話から唐突に「始末の極意」に発展して、演じられるのを聴きましたが、衰えは感じるものの素晴らしかったです。
最近は、そういう事も無いようで、もっぱら「芸談」を語られています。


この師匠でコレは聴いとこう。(以前に書いた記事と同じですが・・・汗)

・地獄八景亡者戯 (上方) 若いころのエネルギッシュな演じ方の方が面白いです、時事ネタは古いですが。
・胴乱の幸助 (特選)前半、後半とも面白いです。
・七度狐 (上方)旅噺の中では一番好きです。麦畑を川と錯覚するあたりのおかしさはもう。
・帯久 (特選)これは熟練した頃のほうがいいです。
・三十石夢の通い路 これは「栄光の上方落語」収録のものがイイです。

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いろいろ考えて若いころのもので揃えました。1セット定価¥20000 それが4つ・・・懐に痛い。

米朝師は話が多いと書きましたが、40代と60代で、なんとそれぞれ40枚にもおよぶ全集を残されています。
40代の脂の乗り切った熱演を収めた「上方落語大全集」
60代の円熟の極みが聴ける「特選!米朝落語全集」
ともにEMIから。
圓生師の「圓生百席」と並ぶ、個人全集の金字塔だと思います。
上方落語の財産ですね。

四天王の中でも別格に好きなので、ちょっと米朝師びいきで書き過ぎたかも知れませんが、四天王を聴くと「上方落語」というものが良く判ると思います。
これから聞かれる方には、是非四天王から聞かれる事をお勧めします。
~枝雀さんとかは、その後で。

上方落語編、まだまだ続きますよ。



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落語入門 其の12【不定期連載】
2010年03月01日 (月) | 編集 |
まだまだ続いてます。
上方落語編 四天王紹介。
今回は、華やかな芸風で人気のあったこの師匠です。

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五代目 桂文枝 (1930-2005)
1992年まで「小文枝」の名前で活躍されていましたので、そのほうが印象強い方も多いと思います。
関西ローカルのTVでは良く御見かけしました。

文枝さんは、一度だけ、高座を見る事が出来ましたが、その時の演目は「愛宕山」でした。
噂通り、高座に上がるだけで、パッと華やいだ雰囲気にする噺家でした。
佇まいも、何という事は無いのに「華やいで」見えるのに驚いた記憶があります。
その嫌味が無くて、上品な語り口には魅了されました。

CDで聴くと、ハリのある、噺家らしいイイ声だなと感じます。
上品と書きましたが、演目によってはえらく抑揚がついたダイナミックな演じ方もされます。

得意ネタも、滑稽噺中心に多彩に揃えられてます。

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この師匠でコレは聴いとこう。
・愛宕山 気楽な幇間の軽妙な描き方が絶妙です
・立ち切れ 大ネタだと思いますが安定感抜群
・軽業講釈 師匠得意のはめものとのマッチングは流石・・・ただ所作が見ものなのでCDでは後半が訳が判りません。

弟子も、三枝、文珍、きん枝と、流石と思える噺家を育てられてますね。


たった一度しか見る事が出来なかったのが残念です。
何とか間に合ったのを幸運というべきか・・・。
前回、ご紹介の松鶴さんとは、違った意味で「上方落語」らしい、演者だと思います。
四天王の中では、春団治さんの「粋」、松鶴さんの「笑」に対しての「華」ですね。

いよいよ、次回は、上方落語界のゴッドファーザー(?)、人間国宝、桂米朝師です。
~これまでにも、いろいろ書いてますが。(笑)

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落語入門 其の11【不定期連載】
2010年02月13日 (土) | 編集 |
まだまだ続きます。
上方編、四天王紹介。

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六代目笑福亭松鶴 1918-1986
春団治さんと同じく、五代目松鶴を父に持つ、2世落語家です。
とにかく豪快で陽気な芸風は、関西、東京問わずに人気ものでした。
CDも割と発売されており、いまでもたくさんの音源を聴く事が出来ます。
晩年の、脳溢血の後遺症からくる、呂律の回らない口調のイメージがありますが、病に倒れる前は口跡も良く、滑らかでなかなか気持ちよく演じられています。
録音が1970年代前半以前のものを是非聴いて下さい。
落語家の声としては、美声とはいえない、独特の声が魅力の一つでもありました。
ルックスと声からくるイメージ通り、大阪の怖いオッサンを演じさせると「素」かと思う位迫力がありますが、基本は爆笑系で、とにかく面白く語るのが好きなタイプの噺家ですね。

本人も大の酒好きで、噺の中でも「酔っ払い」が出てくると俄然その演技が光ります。
代表作の一つでもある、「らくだ」、この話で善良で気のいい紙屑屋が、酔って豹変し、乱暴者と立場が逆転する様は鮮やかで笑わせます。
~同じ「らくだ」は米朝師も得意にされてましたが、酔った様は松鶴さんの圧勝ですね。

一門による追悼大喜利を聴きましたが、六代目を偲ぶ話は、全部「酒」にまつわる逸話ばかり。
面白可笑しく語ってるにしても、相当なものだったんでしょうねぇ。
あと、借金でも有名です。
とにかく逸話に事欠かない師匠だったようで、書籍も多数出版されていますが、自分は未読です。
面白そうなので、読みたいですね。

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育てた弟子としては、仁鶴、鶴光、福笑、鶴瓶らがいます。
なかなか豪華ですね。
さすが、笑福亭。
五代目小さんとも仲が良かったため、その弟子である談志家元も大きく心酔したようです。

この師匠、コレだけは聴いとこう。

・「三十石」 上方ならではの旅噺。
・「らくだ」 前述の通り、前半もイイ感じに仕上がってます。
・「一人酒盛」 またしても酒飲みの話、酒飲みの意地汚い性が上手く演じられます。

そのエネルギッシュでコテコテの芸風は、万人がイメージする「大阪の落語」という感じですね。
自分が落語を聴き始め、高座に間に合わなかった唯一の「四天王」です。
晩年でもいいから一度聴きたかったなぁ。

テーマ:日々のつれづれ
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落語入門 其の10【不定期連載】
2010年02月09日 (火) | 編集 |
都はるみの「なにわ恋しぐれ」でも御馴染、「どアホウ春団治」。
破天荒な芸人としての生き様と、その爆笑落語で今でも上方落語最大のスーパースターだと思います。
その春団治の系譜を継ぐ噺家は、現在でも上方落語の大物です。

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三代目桂春団治 (1930-)
二代目春団治を実父に持つ2世落語家ですが、「上方落語四天王」の一人として確かな芸で人気を集めています。

とにかく春団治さんは、粋な感じがします。
もっちゃり、泥臭い上方のイメージが全くありません。
何度か、高座も聴きましたが、清潔感のある、「上品な芸」です。

初代、二代目の爆笑系とは、かなり感じが異なります。
~初代、二代目はCDでしか聴いた事無いですが、トーン、演じ方が全然違います。
先代までは、面白い事喋るで~、という雰囲気が充満してますが、三代目はどちらかというと淡々としてます。
なんか、客観的に登場人物を見ているような感じがあって独特です。

独特の雰囲気のある佇まいが好まれるのか、TV、CMへの出演も多数で、主演映画もあります。
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噺の数(持ちネタ)が少ないです。
覚えた噺としては、それなりにあるらしいのですが、自信のあるものしか高座にかけない主義です。
正直、演者としては、四天王の中では、一番地味なような気もするのですが(独断ですみません)何とも言えない魅力があるのが三代目ですね。
独特の色気があるので、女性に人気があります。
~いかにも、モテそうなタイプですよね。(笑)

この師匠でコレは聴いとこう。
・「代書屋」これ一番好きです。枝雀師とはまた異なる演じ方。
・「祝いのし」これもいいですね。亭主のアホさが気持ちいいです。
・「野崎詣り」これも。
全部「アホ」が主人公の噺ですね。


因みに四天王の中では唯一の「現役」。御歳、80歳。立派。


是非見ていただきたいのが、春団治さんが、落語に入っていく時にサラリと羽織を脱ぐ仕草。
これ絶品です。ホントに鮮やか。美しいです。美学を感じます。

こうやって書いていたら、また高座が見たくなってきました。
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